吉見 太洋ゼミ
Taiyo Yoshimi seminar
演習テーマ『国際金融的課題の研究』
演習テーマ『国際金融的課題の研究』
当ゼミでは、国際金融市場における様々な課題(国境を越えたカネの動きにまつわる課題)について研究を進めます。具体的なテーマについては受講生と相談の上決定しますが、可能な限り現在足元で起こっているタイムリーな課題を扱うことで、今皆さんが生きている「現在の」世界経済への理解を深めていきたいと考えています。担当教員の吉見が研究を進めている課題に興味を持つ学生を特に歓迎します。例えば、日本企業は海外事業においてどのような為替リスク管理を行っているのか、企業は国際決済でどのような通貨や方法を用いているのか(今後それがどう変わっていきそうか)、ここ数年の急速な円安の進行は日本の経済や物価にどのような影響を与えていたのか、などが現在の吉見の研究上の興味です。吉見の研究内容に興味のある方はウェブサイト(https://tyoshimi.net/)でご確認ください。また、受講生と相談の上決定しますが、研究内容や希望に応じて、国内外での調査や民間企業(社会人)との連携、学外の研究会での研究報告なども実施していきたいと思っています。
経済学の研究方法は、数理的な理論モデルを使った解析やシミュレーション、データを使った実証分析、現地調査を通じたフィールドワークなど様々で、どういったアプローチが適切かは扱う問題や分析者の適正によって異なります。したがって、当ゼミでも研究のアプローチは一つに限定せず、受講生の適正や興味をみて決めていきます。ただし、経済の現状を理解する上で、一定程度データを理解して扱う能力は不可欠だと考えています。したがって、2年次の後期に、統計ソフトStataを使った実証分析の実習を行います。当ゼミでは、国際金融の時事と理論について一通りの理解を得ること、Stataを使った経済分析を一通り行えること、自分で発見した経済的課題について自分の言葉で語れるようになることを目指します。
(ゼミ生の要望や興味を踏まえて変更することもあります)
前期は日本企業の為替リスク管理について、以下の指定教科書の輪読(受講生による発表形式)で学びます。日本企業が貿易を行う際の為替リスク管理や建値通貨の選択において、どういった課題を抱えているかを調査した本です。
『日本企業の為替リスク管理 通貨選択の合理性・戦略・パズル』 伊藤隆敏(著)、清水順子(著)、佐藤清隆(著)、鯉渕賢(著)、日本経済新聞出版、2021年
後期は統計ソフトStataを使った実証分析を、以下の指定教科書を使った実習(こちらも受講生による発表形式)で学びます。Stataを使った経済分析の教科書として大変定評のある本です。
『Stataによるデータ分析入門 第3版 ~経済分析の基礎から因果推論まで~』 松浦寿幸(著)、東京図書、2021年
グループごとにテーマを決めて1年間研究します。夏休みには合宿を兼ねて、研究テーマに関連する現地調査を実施します。研究成果は、学内外のゼミと行うインターゼミ、海外の大学との合同研究発表会などで発表してもらいます。
「演習2」で進めた研究をベースに演習論文を執筆します(執筆希望者のみ)。
特に事前に人数を決めて募集枠を決めてはいませんが、6名から12名くらいを目安にしています。もちろん応募人数等によって受け入れ人数は上下しますが、例年8名程度で推移しています。
ゼミ生の進路としては、経済学部全体の分布に比べて若干金融・保険業の割合が多いように思います。国際金融論のゼミですので、もともと金融関連に興味を持って応募してくださる学生が多いからだと思います。もちろんメーカーや公務員、サービス関連など、金融以外の業種に進んだ方も多くいます。大学院への進学希望をお持ちの方には個別のご相談にも対応します(国立大学の大学院に進学した方もいます)。
ゼミ活動の軸は勉強と研究ですので、経済や経済学のことをしっかり勉強したいという学生に来て欲しいと思っています。大学では授業、部活、サークルなど様々な活動があり、それぞれが重要な意味を持っていますが、知的興味をもとに少人数で集まって、膝を突き合わせて議論できる(かつその分野専門のインストラクターがいる)場というのは、ゼミ以外にはあまりないような気がします。大学の役割は幅広いですが、最も重要なのは思考力と知性を鍛える「知のスポーツジム」としての役割だと考えています。また、ゼミは教員から教えてもらう場ではなく、自ら学ぶ場です。学びや議論に能動的に関わってくれる学生を歓迎します。
2017年度を第一期生として、2021年度の第五期生まで(2022年度~2024年度は吉見の在外研究のため募集なし)と歴史は長くないゼミですが、そのうち三年間において、全学で優秀な演習論文を執筆した学生に与えられる「三重野康・髙木友之助記念学術奨励賞」をゼミ生が受賞しています。演習論文の執筆は必須ではありませんが、本気で論文を書いてみたい学生には本気で指導します。
固いことを色々と書きましたが、ゼミの持つ意味は勉強・研究だけではありません。人間的な繋がりを醸成する「出会いの場」でもあります。ゼミの同期や先輩・後輩とのつながりも、皆さんの将来にとって大変有益なものと考えています。よって、懇親会等の課外活動にも積極的に参加・貢献してくれる学生を歓迎します。