唐 成(トウ セイ)ゼミ
Cheng Tang seminar

演習テーマ『中国経済の研究―日本経済との比較を通じてー』

1.なぜ中国経済の研究が必要なのか

中国は世界第2位の経済大国であり、世界の経済成長の約40%を担っています。しかし、経済転換期に入っている中国は債務問題、内需不足問題、少子高齢化問題、米中対立の激化によるデリスキング問題など、様々な問題を抱えています。中国経済が抱える様々な問題は、世界経済にとっても重要なことです。中国が将来にわたり持続可能な経済成長を達成するためには、これらの課題にどのように対処するかが問われています。

このゼミでは、「日本経済は中国経済の鏡」という視点から、中国が日本の経験から学ぶべきことが多く、日中経済の比較研究を進めるべきだと考えています。たとえば、日本が経験したこと(バブル崩壊と債務)や現在日本が経験していること(少子高齢化)などはこれから中国も本格的に経験することになるでしょう。

他方、中国も独自の進歩を遂げている面もあります。特に、イノベーションを原動力とするデジタル経済の発展が著しいです。その中でも、中国製EV(電気自動車)の急成長や、BtoC(消費者向け)型のオンライン決済を通じて、巨大なビジネスエコシステム(生態系)が形成されていることは注目に値します。中国のイノベーションがどのように実現されているかを理解し、日本に有益な示唆を提供する可能性があると考えられます。

また、厳しい米中対立が続く中で、2022年現在、日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、第3位の投資先国であり、最多の日本企業の海外拠点を有するなど、中国経済は日本経済にとって切っても切れない重要な関係になっています。

ゼミ研究の目標は何か

このような問題意識の下で、このゼミ活動の目標は、経済学の理論を応用し、中国経済と日本経済を比較分析することで、中国経済の現状と課題を深く理解し、その課題に対処するための適切な経済政策を提案できる能力を学生に養うことです。

さらに、ゼミ生の個々の興味に焦点を当てたテーマ研究を通じて、問題の発見、仮説の検証、問題解決の提案など、社会人として必要とされるスキルを高める機会も提供します。

主なゼミ活動の内容とは

1) 文献研究と輪読

  1. ゼミ生が中国経済と日本経済に関する重要な文献を読み、理解する。
  2. 経済学の理論や実証分析の手法を学び、応用するための基盤を構築する。

2) 研究と発表

  1. ゼミ生は研究テーマを選び、それに関する調査や研究を行う。
  2. 研究成果を発表し、他のゼミ生と意見交換を行う。

3) 中国フィールド調査

  1. 中国の経済社会の実態を観察し、現地でのビジネスの実態調査を行う。
  2. 実地調査の体験をもとに、研究に活かす。

4) プレゼンテーション

  1. ゼミ生は研究成果をプレゼンテーションし、他のゼミ生や教員に対してアイデアを共有する。
  2. プレゼンテーション技術を向上させる。

5) ディベート交流戦

  1. 他の大学とのディベート交流戦を実施し、議論力やコミュニケーションスキルを鍛える。

6) 卒業論文の執筆

  1. 4年次に各ゼミ生が卒業論文を執筆し、細かな指導を受ける。
  2. 卒業論文は研究の集大成となり、独自の研究を示すものとなる。

唐成ゼミで期待される活動成果とは

  1. 当ゼミでは、中国経済と日本経済の比較分析を通じて、両国の経済構造や相違点を理解し、現在の経済社会状況と課題に対する深い洞察を得る。
  2. 中国フィージビリティ・スタディ(「百聞不如一見」)調査を実施し、中国の経済社会の実態を直接観察できるし、上海白門会のOB・OGとの親睦を深める。
  3. 少人数ゼミの利点を最大限に活かし、ゼミ生の行動力と調査スキル、論理的な思考力、プレゼンテーション、ディスカッションなどのコミュニケーション能力を確実に向上させる。
  4. 異なるバックグラウンドや価値観に触れ、異文化理解などの能力を培い、グローバル社会での活躍に備えた人材になる。