佐々木 創ゼミ
Sou Sasaki seminar

演習テーマ『公共政策・環境政策の観点から国際的な経済社会問題を解明する』

ゼミの目標

本ゼミの目標は以下の3つです。
1)国際公共政策や国際環境政策の分析枠組みについて経済学を中心に、政策学、行政学、法学など学際的に理解をすること
2)多種多様な問題領域に対する政策決定過程で活用されている経済学の有効性と課題について体系的に理解すること
3)現在の国際公共・環境問題について、課題を設定し、解決策を提示するなど自らの考えを論理的に表現できるようになること

国際公共政策?国際環境政策?

国際公共政策?国際環境政策?とは何を学ぶのでしょうか?例えば、あなたが今この画面を見るために使っているパソコン(スマホかもしれませんが・・・)に内蔵されているハードディスクのサプライチェーンから見てみましょう。

ハードディスクにはレアメタルの一種であるネオジムを利用した磁石が使われており、ネオジムは中国の「環境政策」の一環で輸出制限されていた鉱種でしたがWTO違反と判断されました(「国際通商政策」)。パソコンやスマホなどIT機器に使われているネオジム磁石は日本企業が世界シェアの大半を占めており、ネオジム磁石は省エネに多大な効果があるなど「産業政策」「省エネ政策」にも多大な影響を及ぼしています。ところで使用済パソコンはどうなるのでしょうか?
国内でリサイクルされることもあれば、海外でリユース・リサイクルされることもあり、「廃棄物・リサイクル政策」も国際的な視点で考える必要がありますし、国際的なリサイクルは「貧困・開発・援助」と関係しています。

このようにパソコン一つを例にとっても、様々な経済問題が内包されており、私たちの生活はグローバル社会と密接な関係があります。換言すれば「グローバル社会に無関心に過ごすことは可能でも、無関係で過ごすことは不可能」です。そんなグローバル社会が抱える経済社会問題を公共政策・環境政策の観点から検討することは、ゼミ生諸君の将来に必ず役立つものと思っています。

活動内容

ゼミの活動内容は「ゼミ生が決める」。基本はゼミ生の自主性と積極性を尊重して、教員はゼミ生が研究したいことをサポートすることに徹しています。ゼミ生が国外の課題を設定すれば国外現地調査を実施します。国外調査を実施するためには事前に現地情報を収集しないと「百聞は一見に如かず」の一見の価値に気が付きませんし、さらに現地で日本を比較対象とする必要があるため国内事例も研究が必要となり、多くの時間を要するため必然的に「ガチゼミ」になります(※教員が示した基準や〆切が未達であれば、現地調査を中止することもあります)。

2年生の前期だけは、研究や調査の基礎を身に付けるためにグループワークで輪読を行います(テキストは毎年指定)。その後「3年生の一年間を通じて何を研究したいか?」について2年生後期で課題を設定し、PBL手法(Project Based Learning)を用いて、3年生の一年間を通じて研究を行います。4年生は学部の集大成として卒論執筆します。

国際公共政策にしても国際環境政策にしても、実社会の課題を把握し、改善策を検討する学問です。したがって、理論と実践を重視した研究が必要で、夏季・春季休業中に企業等へのヒアリングやフィールドワークを実施します。また、これらを通じて、社会人として必要となるビジネスマナーも同時に習得します。ゲスト講師やヒアリングで社会人と接する機会も多いゼミです。

グループワークが基本となるためゼミの雰囲気が良いことや、2~4年生のゼミを木曜3~5限に連続して開講しているため、上級生との交流も多いことも特徴です(【写真】は2023年度に実施したインドネシア・ジャカルタ調査の様子)。

佐々木ってどんな教員?

3年生専門科目「国際公共政策」を担当し、国外研究で久しくゼミを開講していなかったマイナーな教員の経歴を述べておきます。2006年に北海道大学大学院経済学研究科博士後期課程を単位取得退学した後、日本学術振興会特別研究員(PD)、タイ・チュラロンコン大学客員研究員、非常勤講師を経て、大手シンクタンクで調査研究業務に従事しておりました。

シンクタンクでは、日本のリサイクル政策やアジア諸国との政策対話、日系企業の環境ビジネス振興などを中心に、年間3ヶ月ほど中国、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの国々を飛び回る生活をしながら、いくつかの政策立案に関与し、民間企業のアジアへの進出などを実現することができ、これらの経験を再度大学で研究しようと考えたところ、本学で教鞭をとる機会に恵まれた次第です。現在は、AIを利用した国外の廃プラスチック政策分析、IoTを活用した資源循環システムの構築、ドローンやスマホアプリを利用した新しい計測手法の開発、日本の環境ビジネスの海外展開支援などを、大手自動車メーカー、エンジニアリング会社、非鉄金属、リサイクル業、スタートアップ企業、環境省、経済産業省、UNEP、APEC、OECDなどと産学官で連携して研究しております。また、とあるスタートアップ企業の社外取締役や政策アドバイザーも務めています。

2018~19年度本学の在外研究でタイ・チュラロンコン大学へ派遣、20年度はJICA専門家派遣、21年度は国際研究加速基金でAPECとの共同研究に従事しておりました。そのため、2022年度に5年ぶりにゼミを開講しました。2024年度新2年生は10期生になります。新しいことにチャレンジしたい学生には向いている、でも少し大変、と思っています。楽しい仕事(研究)は楽ではありません。

主な就職先

「日本の大学教育は役に立たない」と言う社会人の多くは「大学で何を研究したのか?」という問いに対して答えに窮する傾向があります。他方で「学部でもっと勉強しておけば良かった」と後悔している社会人も多いです。研究の第一歩として必要な能力である課題発見能力・課題設定能力は、AI(人工知能)時代に必須となる能力と言われています。これらはどんな業種・職種でも既に必要なはずなので、ゼミで身に付けたことが社会に出て活かされ、成長したOB/OGとの再会は毎年の楽しみです(【写真】は在外研究赴任前のOB/OGも集まってくれた壮行会の様子)。

サービス

三菱商事、住友商事、日本アクセス、西日本鉄道、近畿日本ツーリスト、イトーヨーカ堂、パーソルキャリア、ビズリーチ、パソナ、オリエンタルコンサルタンツグローバル、パシフィックコンサルタンツ、ビジネスコンサルタント、光生舎、ニトリ、フージャース、エコワスプラント、OKUTA、佐川急便

金融・保険

三井住友銀行、みずほFG、りそな銀行、77銀行、SMFL信託、日本生命、SBMC日興証券、丸三証券、福岡銀行、住友生命

IT

マイナビ、Yahoo!、マクロミル、Note、NECネッツエスアイ、NTTデータビズインテグラル、リジョブ、OPEN DOOR、ネットワンシステムズ、キンドリルジャパン

メーカー

日産自動車、キーエンス、ニチレイ、豊田合成、富士通、味の素AGF、積水ハウス、大東建託、三井ホーム、リンナイ、キヤノンメディカル、ファイテン、マルホ、伊藤園、DOWAホールディングス

マスコミ・広告

河北新報社、ぴあ、扶桑社、東急エージェンシー、メトロアドエージェンシー、キョウエイアドインターナショナル、クリークアンドリバー

官公庁、公的機関

国土交通省、金融庁、警視庁、東京都、埼玉県、新潟県、川崎市、日野市、坂戸市、日本商工会議所、日本年金機構、JA、生活協同組合、学習院大学、電源開発

大学院

東京大学大学院、横浜国立大学大学院、早稲田大学大学院

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