岩本 剛ゼミ
Tsuyoshi Iwamoto seminar

演習テーマ『文学入門』

活動内容

文学理論の初歩を学びながら、ジャンル・長短を問わず、できるかぎり多くの文学作品を輪読し、討論をおこなっていきます(どの作品を読むかの選択は、教員とゼミ生がそのつど相談して決定します)。

演習1(2年次)では、グリム童話、イソップ童話、ギリシア神話、あるいは新美南吉、江戸川乱歩、伊坂幸太郎といった作家の比較的平易な作品を教材にして、文学理論の初歩を学び、文学作品を批評的に読む方法を学びます。演習2(3年次)では、演習1での勉強を活かして、カフカ『城』、エリクソン『黒い時計の旅』、恩田陸『ユージニア』、中井英夫『虚無への供物』といった、分量的にも内容的にも読みごたえのある長編小説の読解に挑戦したいとおもっています。また、演習3(4年次)での演習論文作成の下準備として、文章を書く練習も少しずつ始めていきましょう。演習2の後半からは、ゼミ生各自が自由に作家・作品・テーマを選び、演習論文へ向けた研究を進めます。そして、ゼミを締め括る4年次後期、前年度の研究成果に手直しを加えながら、最終的に演習論文を完成してもらう予定です。

文学作品は、歴史・社会・政治・経済・文化・風俗・思想・自然科学、等々をめぐる多彩な知見が重層的に織りこまれた、実にハイブリッドなテクストです。「文学」とは、そのような文学作品を丁寧に読み解こうとする、難しくもおもしろい試みといえるでしょう。「文学」が私たちに教えてくれるのは、言葉こそ人間の思考力/想像力/創造力の根源である、すなわち、言葉こそ人間がこの世界を生きる力の根源である、ということではないかとおもいます。文学作品の言葉と真摯に接する経験のなかで、言葉に対する感性を育て、言葉の力(言葉を通して世界と他者を理解する力/言葉を通して自分自身を表現する力)を養うこと、それが本ゼミの最大のテーマです。

ゼミ紹介

 「文学」をテーマとする本ゼミは、経済学部にあってマイナーなゼミです。3年に一度しか開講されないため、レアなゼミ――「希少価値の高いゼミ」といえれば尚よいのですが――ともいえます。集まってくるゼミ生の数もそれほど多くはありませんし、その動機も積極的なものから消極的な的なものまで様々です(「本を読むのが割と好きだから」「経済学に興味をもてないから」「親の勧めで経済学部に進学したが、本当は文学部に進学したかったから」「愛読する作家がいるから」「経済学のゼミに応募したが不合格だったから」、等々)。いずれにせよ、ご縁があって本ゼミに集まったくれた学生諸君には、ハイブリッドな学問である「文学」を学ぶことで、この世界の多種多様な事象を「言葉」を通して観察し、考察する柔軟な知性を身につけてもらいたいとおもいます。ゼミに参加する上で必須の前提知識は特にありません。「言葉」に興味があり、本を読むのが(それなりに)好きで、好奇心豊かな学生諸君の参加を歓迎します。

教員プロフィール
研究者情報データベース

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