本田 貴久ゼミ
Takahisa Honda seminar

演習テーマ『外国語から見る世界』

活動内容

このゼミでは、外国語や異文化を入口として、私たちが生きている社会や文化を違った角度から眺めます。担当教員の専門はフランス語ですが、研究対象はフランスやフランス語圏に限定しません。文学、映画、音楽、アート、食、メディア、歴史、社会問題など、自分が「なぜだろう」「もっと知りたい」と思うことから研究を始めましょう。

演習1では興味を研究の「問い」に変え、資料の探し方・読み方を学びます。演習2では、ことば・文化・芸術・社会についての文献をみんなで読み、その後、各自の研究を本格化します。演習3では、発表・討論・書き直しを重ね、問いを演習論文として完成させます。

ゼミ紹介

このゼミは、2017年以来、10年ぶりに開講します。表紙の作品は、オラファー・エリアソン《Your uncertain shadow (colour)》(2010)です。鑑賞者が光の前に立つと、一人の身体から色の異なる複数の影が現れ、動くたびにその重なりや形も変わります。ここでは、私たちは作品を外から眺めるだけの存在ではありません。自分が立つ位置や動きによって、見えている世界そのものが変わり、「見る私」もまた作品の一部になります。外国語や異なる文化に触れることも、これと少し似ています。自分の立つ場所をずらしてみると、同じ世界が別の姿で見えてくる。このゼミで考えたいのも、まさに「世界を見るとき、私たちはどこに立っているのだろう?」という問いです。 これは、私自身が文学や文化を研究するときにも大切にしている問いです。作品そのものだけを見るのではなく、それがどのような時代や社会のなかで生まれ、誰がどのような場所からそれを見てきたのかを考える。見る位置を変えると、よく知っているつもりだった作品も別の姿を見せることがあります。

私の専門は、20世紀、とりわけ二つの世界大戦の間のフランス文学です。なかでも研究しているのがミシェル・レリスという作家です。レリスは文学だけに閉じこもらず、文化人類学、美術、シュルレアリスムなど、さまざまな知的・芸術的運動にかかわりながら作品を書きました。最近では、長く読んできたレリスを「弱さ」という観点からあらためて読み直しています。同じ作家でも、こちらの問いや立つ場所が変われば、見えてくるものも変わるからです。

そして、見る位置を「現在」に移してみると、文学そのものの姿も違って見えてきます。同時に、21世紀の現在に「文学には何ができるのか」ということも考えています。20世紀には文学は文化のなかでかなり特権的な位置を占めていました。しかし現在、映画、音楽、マンガ、アニメ、ゲーム、SNSなど多様な表現が存在します。「文学の終わり」という少し挑発的な観点から、文学に何が残り、何が変わったのかを考えてみたいのです。

この問いは文学だけの問題ではありません。時代や社会が変われば作品も変わり、それを評価する私たちの基準も変わります。現代の作品は社会の変化に応じてどうアップデートされているのか。私たちは何を「面白い」「美しい」「価値がある」と考えるようになったのか。そうした変化を見ることは、自分自身の価値観を見つめ直すことでもあります。

文学、映画、ドラマが好き、外国に行ってみたい、社会の問題が引っかかる――そういった軽い関心も、問い方を変えれば研究の入口になります。フランス語を勉強している学生はもちろん、「国際教養A」を聴講して、文化や社会を別の角度から考えることに興味をもった学生も歓迎します。外国語を主体的に学んでいるということは、すでに自分の当たり前のポジションを変えたいという欲求のあらわれなのです。

担当教員の専門領域はフランス文学・フランス語圏文化。それ以外の地域・分野を研究する場合には、学生自身が必要な資料や先行研究を探し、それをもとに教員や他の学生と一緒に問いを深めていくことを重視します。自分の興味を大学での「研究」に育ててみたい人を待っています。

教員プロフィール
研究者情報データベース

経済学部ゼミ一覧を見る(トップページへ)